うつ病を治すための個人的方法

個人的経験からうつ病の効果的な治し方について解説していく。

食事の改善について1

人間は食べたものからできている。これは単純明快にして普遍の真理である。適切な食物は人間の健康な身体を形作るのみならず、心理的な安定にも大きな役割を担っている。人間の精神面を司る脳や神経系を正常に動かす数々の物質もまた、日常的に摂取している食物から作られていることを考えれば、これは当然というほど当然の理屈だろう。もし体にも神経系にも適切な栄養が供給されず、不摂生な食事ばかりを続けていると、その人間は自制を欠き、少しのことでいらだち、他者を率先して攻撃することで満足を得るような粗暴な人間へと変わっていってしまうだろう。

 

少し昔に、「スーパーサイズ・ミー」というドキュメンタリー映画があった。監督自身が実験台となり、某有名ファストフードチェーン店の食事のみで一ヶ月間生きるという趣旨の企画であったが、実験の後半では、彼の体重が10kg以上増えたのみならず、心身ともに様々な疾患の徴候が現れ、躁うつ病まで発症してしまった。このような事例からも、間違った食生活がいかにうつ病の原因に直接的に結びついているかがよく分かるだろう。

 

スーパーサイズ・ミー

スーパーサイズ・ミー

  • メディア: Prime Video
 

 

食事について考える時大切なのは二点、すなわち、食べるべきものを食べることと、食べるべきでないものを食べないことである。企業が利己的な利益のために消費者の健康を食い物にすることが、大した批判にもさらされず大々的に行われてしまっている現代の社会では、この双方を実践するのは相応の正しい知識と日頃の自制を問われることになる。

 

ここで私達の生活の周辺にある食物についてよく観察してみよう。たとえばコンビニエンスストアに入ったとする。そこで目に入るのは、砂糖やカフェインを大量に使った清涼飲料、ほぼ純粋な炭水化物に油や砂糖をまぶしただけの菓子類の数々、砂糖まみれのパン、これまた純粋な炭水化物と揚げ物だらけの弁当など、まともに人間に必要な栄養が取れる食事を見つけることは不可能と言ってもよい。外食チェーン店も似たようなもので、過剰な脂、砂糖、獣肉を使った冷凍食品をそれらしい写真で見せ、いかにもそうした食品を消費することに幸福が詰まっているかのような印象操作を行っている。

 

資本の側が、本来人間にとって控えるべき食品であるはずの砂糖や油、過剰な獣肉を使いたがるのは、それが自然界では珍しい高い熱量を凝縮した食品であるがゆえに、飢餓に備えるという生物的な本能を持った人間にとって麻薬的な快楽を与えるからだ。もしあなたがこのようなことを知らず、現在までそのような商品を日常的に消費していたのだとしたら、あなたは気づかないうちに金と健康を搾取されていたということになる。

 

それでは一体私達はどのような食品を食べ、どのような食品を避けるべきなのか。その指針は以下の通りである

 

食べるべきもの

  • 全粒穀物
  • 豆類
  • 緑黄色野菜
  • イモ類
  • 種子(ナッツ)類
  • 魚類
  • 乳製品
  • わずかな量の鶏肉、獣肉

 

避けるべもの

  • 砂糖
  • 精白穀物のみの食事
  • 過剰な油類
  • 過剰な塩
  • カフェイン
  • 食品添加物
  • 加工食品
  • 過剰な獣肉

基本的に食物について考える時、何が自然で何が不自然であるかということをよく見極めて、食べるべきものとそうでないものを峻別するのが望ましい。人間の本来の食性に合わせてなにをどのような割合で食べるのが良いのか、そして何が自然界に食物として存在していて、なにが存在しないのか、そうした考察を深めていくことによって、人間の健康にとって相応しい食生活というものも見えてくるのである。

 

それでは次回以降はより具体的な食物の選び方について述べていく。

睡眠の改善について6

続き。

 

・睡眠にまつわる薬草類を用いることで、上記の方法を補完する。

 

前回までの記事で睡眠を改善するための基本的な生活習慣の修正については述べたが、苦にならないほどに習慣化するには時間もかかるし、かなりの自制が必要にもなるだろう。そこで生活習慣を修正していく移行期間には、いくつかの有用な薬草類を補助的に用いることをおすすめする。

 

現代的な化学合成薬を擁護する国内の利益団体は、薬草療法に科学的証拠がないなどといまだに言っている。彼らは抗うつ薬を始めとする化学合成薬無数の害については全く目をつぶり、その数百分の一にも満たない薬草療法の副作用をおおげさに騒ぎ立てる。現代医薬品の開発には多額の費用がかかる。彼らにとってはすでに有効な薬が存在していてはまずいのである。しかし、すでにWHOを始めとする欧米各国の研究機関では伝統な薬草類に様々な疾病に対する治療効果があることは、広く認められた事実となっている。

 

第72回世界保健総会(WHO)において、国際疾病分類ICD-11に伝統医療(鍼灸や漢方薬など)を新たに導入することが採択されました 東洋医学研究所®グループ 井島鍼灸院 院長 井島 晴彦 令和元年10月1日号|鍼灸医学による研修の実績をご紹介|名古屋の鍼灸院、東洋医学研究所

 

アメリカでは数十年前から薬草療法はごく一般的なものとして、広範に知識が普及しているし、ドイツなどでは保険適応すらされている。

 

ecocolo.com

 

 

薬草療法には対症療法としても現代医学的な薬物療法と大差のないほどの効果を持ちながらも、副作用がまったくないかあっても軽微で、ししかも経済的な負担も遥かに軽いものが多く存在している。時代や国を問わず、人類どころか動物にまでも普遍的に利用されてきたものに効果を見いださないというのは、そちらのほうが非科学的な態度ではないだろうか。薬草療法の価値を否定することは、アスピリンの効果を認めながら、原材料である柳の皮の薬効を否定するような愚行なのである。

 

特に精神領域や不眠などに用いられる薬草類は昔から世界中で非常に数が多く存在しているので、いくつか試してみて自分にあったもの使用するようにするとよいだろう。

 

ここでは私が以前に使用していた中から、個人的におすすめできるものをいくつか紹介していく。なお、薬草類を購入する時には基本的にiHerbなどの海外通販サイトで個人輸入という形を取るとよいだろう。日本語、日本円で普通の国内サイトと同じ様に買い物ができるうえ、価格は国内の数分一程度であり、送料も安い。もしその商品に1ポンド袋入り乾燥茶葉が売っていれば、それを薬草茶として毎日飲むのが最も費用が安く済む。なければカプセル剤でもよい。価格的には1種類に付き毎月200~500円程度が目安となる。

 

 

メラトニン

前回までの記事で紹介した通り、メラトニンは睡眠を司る代表的な脳内物質であるが、これの製剤を経口摂取することでも一定の効果が望める。非常に安価な上に安全性も高いので、欧米では90年台頃からごく一般的に用いられているサプリメントでもある。

 

メラトニンは体内時計を司るホルモンなので、使い方が少々特殊で、睡眠導入剤のように寝る直前に飲めばよいというものではない。一般的に売られている3~5mgの製剤を、目的とする入眠時間の6時間ほど前から少しずつ摂取していくのが望ましい。そうすることによって、脳内のメラトニン濃度が徐々に高まり、入眠できる時間を早めていくことができる。

 

実際の成果を見るまでには少し時間はかかるかもしれないが、気長に使用を続けることで昼夜逆転などを正常化するのにも十分な効果を発揮するだろう。

 

Wikiの記述も基礎知識として役に立つのでリンクを貼っておく。

メラトニン - Wikipedia

 

バレリアン(セイヨウカノコソウ)

 

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 鎮静作用を持つ睡眠系の薬草としてはおそらくもっとも代表的なものがこれだろう。ヨーロッパ原産で、現地では古代ギリシア・ローマの時代から不眠症や不安の軽減、また消化器不良や泌尿器科の治療のために使われてきた。ドイツやフランスなどでは一般的な医院でも普通に処方されている。

 

効果的にはかなり強い部類に入り、飲み始めてからしばらく経てば、明らかな鎮静作用を感じるだろう。特に現在不安感が強く夜になっても興奮状態が続き、強度の不眠状態にある人にはおすすめである。基本的にはどうしても眠れない日に頓服として使用するのが良いだろう。一般に処方される睡眠導入剤よりは遥かに安全で依存性もないため、安心して使用できる。海外サイトから手に入るアメリカ製の製品は一般的に日本人向けのものより内容量が多い傾向にあるので、注意書き通りに使用すると作用が強く出過ぎる可能性もある。まずは規定の半量程度から初めて見るとよいだろう。なお独特の周期があるため、飲み慣れるまでに少し時間がかかるかもしれない。

 

以下のリンクの記述も参考になる。

www.arcoiris.jp

 

トケイソウ(パッションフラワー)

 

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中南米原産で現地では不安や精神的な緊張緩和のために古くから用いられてきた。その名の通り時計の形をした花が独特で、観葉植物としても世界中で人気がある。基本的な用法はセイヨウカノコソウと同じで、不安感や緊張感が強い時、就寝の少し前に飲むのが良い。作用的にはセイヨウカノコソウよりもはるかに穏やかなので、日中の不安などに対しても頓服的に用いても、眠気や強い鎮静作用に悩まされることもない。乾燥葉ならば1ポンド(約453グラム)のもので一日3回お茶として服用しても半年ほどは持ち、価格は1500円ほどである。

emira-t.jp

 

カモミール 

 

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https://www.medicalherb.or.jp/archives/166744

 

カミツレとも。ヨーロッパ原産の植物で、日本でもミントやローズヒップなどとともに、ハーブティーの原料として一般的なスーパーなどでも簡単に手に入れることができる。古代文明の時代から数千年に渡って利用されてきた代表的な薬草で、精神の鎮静のほかにも抗炎症作用や鎮痛作用など、さまざまな薬効を持っている。効果はトケイソウよりもさらに穏やかで、通常の分量を服用している限りは副作用は全くと言っていいほどない。また、日中の過鎮静などの弊害もないため、日頃のストレス緩和のために、一日三回紅茶やコーヒーの代わりに飲み続けるのもよいだろう。価格はトケイソウよりも若干高く、1ポンド2300円ほど。カミツレとも。ヨーロッパ原産の植物で、日本でもミントやローズヒップなどとともに、ハーブティーの原料として一般的なスーパーなどでも簡単に手に入れることができる。古代文明の時代から数千年に渡って利用されてきた代表的な薬草で、精神の鎮静のほかにも抗炎症作用や鎮痛作用など、さまざまな薬効を持っている。効果はトケイソウよりもさらに穏やかで、通常の分量を服用している限りは副作用は全くと言っていいほどない。また、日中の過鎮静などの弊害もないため、日頃のストレス緩和のために、一日三回紅茶やコーヒーの代わりに飲み続けるのもよいだろう。価格はトケイソウよりも若干高く、1ポンド2300円ほど。
https://www.medicalherb.or.jp/archives/166744

 

睡眠を改善する薬草類は他にも無数にあるが、上記の代表的なものを用いるだけでも、十分なほどの効果が望めるだろう。あとは各人が自分の体調に応じて、それぞれに適した処方を見つけてほしいと思う。

 

なお、薬草類は確かに有益なものであるが、それ自体で不快な症状を治療しようというのはやはり難しいものである。あくまで病気の原因は、自分自身の間違った生活様式にあるのだということを忘れてはならない。前回までの記事で紹介した睡眠の改善方法を根幹に据えながら、必要に応じて、賢く薬草類も利用していってもらいたい。

 

睡眠の改善について5

続き。

 

・パソコンやスマートフォンなどの電子機器の設定を切り替えると同時に、使用を控えるようにする。

 

電子機器の画面を長時間見続けることが不眠と関係しているということは、以前から多くの人々の間で感覚的には知られていたことだろう。しかし近年になってようやく「ブルーライト」というものが体に与える悪影響が周知されるようになり、AndroidWindowsといったOSにも標準でブルーライトを低減する機能が搭載されるようになっている。

 

ブルーライトが睡眠に悪影響を及ぼす理由は以下の通りだ。自然界では通常朝から昼にかけて全波長の光が太陽から放出されるが、夕方にはその内の青色光が低減され、やがて夜に至る。空の色が昼の青から夕方の赤へと変わることを想像していただけると理解しやすいであろう。よって夕方以降に強い青色光が直接に網膜に当たるのは不自然な状態であり、体内時計を狂わす結果となってしまうのである。私自身の経験で言えば、OS標準のブルーライト低減機能であっても、設定しているのとしていないのでは、たしかに睡眠の質に大きな影響があった。

 

基本的にごくわずかに設定をいじるだけでよく、全く金がかかるわけでもないので、これを導入しない手はないだろう。多くの場合夕方から低減機能が発動するようにタイマーが付いているのだが、どうせなら一日中にしてしまったほうが良いと思う。始めは今まで見ていた画面と違うので若干の違和感を覚えるが、慣れてしまえば特に問題まなく、むしろ通常の設定に戻した時の青色光の刺激が目につくようになるくらいだ。

 

さらにこれに加えて、OA機器から発生する電磁場にも気を配ったほうが良い。国内ではまだまだ論争が続いているが、ヨーロッパなどではすでに電磁場の人体に関する害は公に認められていて、日本よりも遥かに厳しい規制が実施されている。

 

電磁場の内磁波への対処は唯一距離を取ることのみである。磁場はほぼあらゆる物質を透過してしまう性質を持つため、一般に売られているOAエプロンなどは全く役には立たない。しかし、距離に対して指数関数的に讒言していく性質があるため、数cm離れただけでも大いにその害を緩和できる。できる限り自宅ではPCを使い、画面からの距離を少なくとも1m、できれば2mほどは取るとよいだろう。

 

電場に対するもっとも有効な対策はアースを取ることである。アース線はホームセンター等に行けば500円ほどで手に入るので、それをワニ口クリップなどでPCのアース端子に繋ぎ、台所などにあるアース線差込口へと誘導するのである。これもわずかな投資で済むにもかかわらず、OA機器使用の害をかなりの程度まで軽減できる非常に有効な手段である。

 

もちろんこれらの対策を施した上で、可能な限り日没後はPCやスマートフォンの使用を控えるのが望ましい。

 


 

 

・ヨーガ、瞑想などによって体調を整え、心理的な障害を取り除いていく。

 

毎日規則正しくヨーガや瞑想を実践していくことは、不眠の根本的な治療に対して絶大な効果がある。こちらはより詳細な説明が必要となるため、また独立した別の記事で記述していくつもりである。

睡眠の改善について4

さらに前回の続き。

 

・アルコール、ニコチン、カフェインなどの嗜好品を止めていく。

 

我々の日常生活の中で、上記の依存性のある成分はごく当たり前にありふれている。コンビニやスーパーに行けばごく簡単に酒や煙草を購入できる。お茶やコーヒーにカフェインが含まれているのは常識の範囲だが、実はある種の炭酸飲料やいわゆる「エナジードリンク」の類にも科学的に合成されたカフェインが大量に含まれている。これは過剰な砂糖と同じく、消費者を一時的な快楽をもたらすだけの無益な薬物に依存させて売上を伸ばそうという、資本側の明白な悪意に基づくものである。

 

しかし、それらの危険性を正しく認知している人は極稀であり、周りが使用しているからという安易な理由で自分自身もやめようという意志のないまま、依存状態を長引かせてしまっている事が多いだろう。ここではっきりと断言しておくが、上記の脳神経系に作用する薬物は人間の生存とって全く無意味であり、さっさと依存を経ってしまったほうが遥かに健康で幸福な人生を送ることができるのだ。

 

この手の問題には常に巨大な資本やその関係者の利害が絡んでくるので、危険性を訴える言説を執拗に無理な理屈で否定しようとする輩が大量に湧いてくるものだが、決してそのようなものの意見には耳を傾けてはいけない。一歩日本の外に出てみれば、世界中の名だたる専門的機関がその害を科学的事実として認定しているのがわかるだろう。

 

中枢神経に作用し一時的な快楽をもたらす依存性の薬物は、同時に中枢神経を狂わす毒でもある。本来ならば正常な覚醒と睡眠の均衡を保てるはずの体が、無駄な薬物の摂取によって不自然な興奮にさらされ、結果として病的な不眠に結びついてしまうことは往々にしてあり得るのだ。

 

依存状態から脱却するためには、まずその薬物の実態や危険性を正しく認識することが重要である。そして依存状態から脱却できた時、どのような利益が自分にもたらされるのかも正しく認識しておくことが、まずは第一歩となる。

 

www.mhlw.go.jp

 

www.e-healthnet.mhlw.go.jp

 

ganjoho.jp

 

 

 

さて、理性でそうした薬物の害を認識したならば、次はどうやってそれから離脱するかである。やはりこの段階でも依存とそこからの離脱に対する正しい知識が第一に必要となってくる。特に重要なのはこれから始めようとする依存脱却の過程で、自分がどのような経過を辿っていくのかを正確に把握しておくことだ。

 

一般に依存症からの脱却というのは、始めの数日にもっとも体感する苦しみや不快感が大きくなる。多くの人が頭では悪い習慣をやめようと思いながらもなかなか成功できないのは、この初期段階の苦しみに耐えることができないからだ。普段依存している薬物を断った途端心身ともに抑えきれないほどに不安定になり、ちょうどその時手の届く範囲に当の薬物があると、ついつい誘惑に負けてしまうのである。

 

この段階ではやはり本人の強い意志が重要となる。今現在感じている苦しみは一時的なものであり、この時を乗り切れれば少しずつ和らいでいくものだとの正しい認識を持ち、断固として2~3日の間を乗り切らなければならない。後で記述するヨーガや呼吸法、瞑想法などで苦しみを和らげるのもの非常に役に立つだろう。

 

そうして離脱に伴う身体的・精神的な苦しみがある程度過ぎ去った後にも、もう一段階の試練が訪れる。すなわち「もう十分頑張ったんだし、少しくらいなら良いだろう」という自分に対する間違った寛容性から、もと来た道を戻ってしまうことである。特に周囲の人間が酒や煙草などを平気で嗜んでいる姿を見てしまうと、この感情が起こりやすい。

 

この段階では自分を誘惑する余地のあるものを、できる限り身の回りから排除してしまうのが望ましい。たとえばタバコの依存では喫煙具をすべて捨ててしまうと言った具合にである。

 

なお、ここで明記しておくが、精神科系統の薬剤と違い、この手の日常の依存物は徐々に摂取を減らしていくというやり方よりも、思い切って覚悟を決めた次の日から完全に断ってしまうほうが成功率が高い。有能な専門家が後ろについてでもいない限り、人はついつい意志が緩み、徐々に減らしていくつもりが気がつけば元通りに戻っていたという結果になるのが大概である。離脱にともなう苦しみは新しい自分への進歩だと受け止めて、ハーブや瞑想などの緩和的な手法を取りながら、時間が過ぎるのを待つのが望ましい。

 

脳に不自然な刺激を与える依存性の薬物から解放されることによって、体はより自然な活動と睡眠の循環を取り戻していくことができるようになる。

 

 

 

 

 

睡眠の改善について3

それでは前回に引き続き、うつ病からの回復に置いて最も重要な睡眠の改善法について述べていく。

 

・夜は明かりを落とし、眠りたい時間には完全な暗闇にする。

朝から昼にかけて太陽の光と身体の活動によって賦活された交感神経系は、日没とともに周囲に光が失われることによって副交感神経優位へと移り変わっていく。それとともに昼間に放出されたセロトニンも睡眠物質であるメラトニンへと代謝が行われていく。よって、体に正常な朝、昼、夜の循環を取り戻させたい場合には、朝に光を浴びることと同じように、夜に強い光を浴びないことが重要になってくる。

 

しかし、現在の私達の生活は様々な文明の利器に囲まれており、きちんと意識をしていないと、たとえ夜であろうとも、昼間とほとんど変わりがないほどの強力な光に終始さらされることになってしまう。例えば一般に使われている天井用の蛍光灯やLEDは、明るさにして2000~3000ルーメンという強力さであり、これは光源から1メートルの距離で見た場合、ロウソク2000~3000本と同じだけの光の強さである。つい百数十年前までは人類のすべてがロウソクや油皿の僅かな明かりで生活していたことを考えれば、どれほど異常な明るさであるかがわかるだろう。

 

日没の後の光源は視界を確保できる最低限のものでよい。私の場合この方法を実践し始めた時、26口金の床置き型電球用ソケットを手に入れ、通常の40ワット型電球相当のLEDを使っていた。しかし、500ルーメンでも明るすぎたため、徐々に光源の出力を落としていき、現在では17口金のアダプターをつけて、20ルーメンのLED電球に落ち着いている。これでも慣れてしまえば何の不自由も感じることはなく、読書なども普通に楽しめる。暗い所で過ごしていると眼が悪くなると言う方もいるかも知れないが、私自身はもう15年近く、この生活をしていても両目の視力は1.5から落ちていない。

 

光源をできる限り暗くするとともに、その種類の選び方も重要になってくる。なるべく青色の光を発さないものを選ぶべきで、具体的には「昼白色」や「昼光色」のものを避け、「電球色」のものを選ぶとよい。これは後にパソコンの項で述べるブルーライトの問題によるものである。

 

日没後に薄暗い環境で過ごすことによって、自律神経系に今が夜であることを知らせることができる。徐々に睡眠に向けて体が整えられてゆくのである。そしていよいよ午後11時~12位の一般的な睡眠時間が訪れたら、それ以降は一切の光を遮断し布団の中に入ってしまうのが良い。一旦布団の中に入ったなら、たとえその日は朝まで眠ることができなかろうとも、出来得る限り体を動かさず目も開けないようにすることだ。始めは苦痛を伴うが、これを毎日繰り返していくことによって少しずつ体内時計が調整されていき、いずれは正常な規則正しい睡眠を取れるようになっていくだろう。

 

また言わずもがなだが、夜にはできる限り身体的な活動を避け、例えばゲームなどの神経を興奮させるような行動も慎むべきである。

 

必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど栄養価のバランスの取れた食事を規則正しく食べる。

 

食事の問題はうつ病の治癒と直接に関わってくる重要なものなので、のちに独立した記事で詳しくに記述していくつもりである。この項では、睡眠の改善という目的に対して重要となる、食事を規則正しく摂ることの重要さについて述べていきたい。

 

手の届く範囲で気軽にいつでも食べ物がある現代の生活では、ついつい気を紛らわすために、ちょっとした拍子で何がしかの食べ物を口に運んでしまいがちである。しかし、食事を摂るという行為もまた、人間の交感神経と副交感神経の均衡に非常に重要な役割を果たしており、特に夜間に間食などをし過ぎると、自律神経が乱れ不眠の原因となってしまう。

 

うつ病患者はたとえ昼夜逆転などで生活習慣が現在乱れていようとも、健常人と同じように、朝、昼、夜の三食を毎日同じ時間に摂るように心がけなければならない。それと同時に間食や清涼飲料水などのそれ自体でカロリーを保つ飲料も極力飲まないようにするべきである。特に夜間の間食は致命的で、本来休息に向かうはずである時間帯に消化器系への刺激が加わると、体はまだその時間が活動時間であると勘違いしてしまい、望まぬ不眠を生む結果となってしまう。

 

うつ病がより深刻で、現在昼夜逆転の生活を送っている方の中には、夜間に食事を摂らないと空腹で仕方がないという方もいるかも知れない。この場合、思い切って夜中半日程度の断食をしてしまうのが望ましい。断食というのは体の自然治癒力を回復させる方法として、昔から用いられてきたものであるし、一日程度何も食べなくても人間は絶対に死ぬことなどない。普段食べている夜中の食事を食べないことで、自然と交感神経が優位になり一時的に眠れなくもなるだろうが、その分徹夜後の朝日を十分に浴び朝食を摂れば、前記事で述べたように生活習慣を改善していく糸口となっていくだろう。なおこの時に朝食の量はなるべく少食で済ますことをおすすめする。こうすることによって交感神経が活発となり、たとえその後に寝てしまったとしても、より短い時間で覚醒できる可能性が高まる。

 

間食をしないこと。健常人と同じ時間に規則正しく食事を摂ることを心がけること。食事の習慣を正すために少々の空腹には耐えること。これを実践していけば、食事という物理的な側面から、自律神経の均衡をとっていくことが可能になるだろう。

 

 

 

 

睡眠の改善について2

それでは今回は具体的な睡眠の改善法について述べていくことにする。前回の記事で書いたとおり、うつ病患者の体内時計は慢性的に狂った状態にあり、それをいかにして正常なものにしていくのかがこの方法論の要となる。

 

一度身についてしまった生活習慣を変えていくのには、一朝一夕ではいかない部分がある。読者の方々は決して一日や二日の短期的な結果を追い求めることなく、毎日少しずつでも生活を向上させていけるように、着実な実践を重ねていくことを心がけてほしい。たとえば今日、昨日より3分間早く眠れることに成功したならば、20日で1時間、3ヶ月では4時間以上も睡眠時間を改善することができるのだ。苦しみの中にいる時こそ人は焦り、そこから逃れようと急激な変化を求めたがるものであるが、今日の変化は今日自分ができる範囲でしか手に入らない。無理をせず、たとえどのような些細なものであっても、僅かな進歩に対して自分を褒めてあげながら、一歩一歩前に進んでもらいたいと思う。

 

さて、うつ病の異常な睡眠習慣を正常に戻すための、具体的方策の概要は以下の通りである。

 

・起きたらすぐ積極的に太陽の光に当たる。

・できる限り早い時間帯に屋外で体を動かす。

・夜は明かりを落とし、眠りたい時間には完全な暗闇にする。

必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど栄養価のバランスの取れた食事を規則正しく食べる。

・アルコール、ニコチン、カフェインなどの嗜好品を止めていく。

・パソコンやスマートフォンなどの電子機器の設定を切り替えると同時に、使用を控えるようにする。

・ヨーガ、瞑想などによって体調を整え、心理的な障害を取り除いていく。

・睡眠にまつわる薬草類を用いることで、上記の方法を補完する。

 

以上の方法は前の記事で書いたように、人間の脳の機能を根本から狂わせる精神科の薬剤をきちんと断薬したあとで実践するのが望ましいが、まだ完全断薬に至らないまでも正しい知識の元に長期間少しずつでも実践を重ねることによって、複合的に症状の改善が見られるだろう。

 

現在うつ病に耐えながらも学校に行ったり仕事をしている方々は、規則的な社会生活を送っているという点では、相当な優位があるため、上記の方法をうまく取り入れていけば比較的早くに効果が出るであろう。しかし、わたしはここではより重症的なうつ病患者で家から出ることもできず、完全に昼夜逆転の生活を送っている場合も取り上げてみたい。最悪の事例に対する有効策を記述できれば、それより軽度な事例に対しても同様に解決を示せるのだ。

 

・起きたら積極的に太陽の光に当たる。

 

自然界で一日の朝、昼、夜の循環を決定づけるのはもちろん太陽の動きであり、人間を始めとする多くの生物もまた、太陽の光によって一日の活動を制御している。正常な体内時計が働いているならば、朝の目覚めとともに体を活動へ導く交感神経が活発となり、夕方から夜にかけては副交感神経が活発となり体は休息へ向かう。

 

うつ病患者の場合慢性的なストレスによってこの機能が崩れている。うつ病患者がよく経験するのは、自分では眠りたいと思っているのに、布団に入っても何時間も寝付けないというものである。慢性的に続くこのような状態は、経験したことがある人間でないとわからないほどに非常に苦しい。自分の意志ではどうにもならない問題だからである。しかし、目の前の不眠に対する眠ろうという意志は無力でも、よく眠るために一日の生活習慣全体を見直していこうという意志は遥かに現実的な効果があるものである。

 

朝起きた直後に太陽の光に当たることで、崩れた体内の朝と夜の循環を正しく書き直していくことができる。太陽の光を規則正しく浴びることは、うつ病患者の崩れた体内時計を回復させるための最も有効にして、最も費用のかからない方法なのである。

 

さらに詳しくは後で別の記事で書くが、例の「モノアミン仮設」で有名なセロトニンは、太陽の光によって賦活されることが確認されている。セロトニンが睡眠を司るメラトニン代謝されることは以前の記事で述べた。このように脳内化学物質という現代医学的な視点から見たとしても、この方法論は十分妥当であることがわかると思う。

 

しかしここで問題がある。現状ひどい昼夜逆転を起こしている場合、日の出前後で眠り、日没前後に起きるという生活も往々にして考えられる。一日のうちで太陽の光に当たれる時間が非常に少ないか、あるいは全く無い場合も考えられるのだ。

 

この場合の対処には2通りある。すなわち、

 

1、自分が起きる時間を一日に数分でも早めるとともに、その時間に太陽が出ているならば即日光浴をする。それを毎日繰り返す。

2、わざと徹夜をして朝日を十分に浴び、その後もできる限り覚醒を維持する。

 

1の方法は順当な方法論であり、時間はかかるが、体に負荷をかけることなく、生活習慣を矯正していくことができる。

2の方法はより積極的であり、体力的には辛い面もあるが、比較的短期間で生活習慣を元に戻せる可能性がある。昼夜逆転がひどいほど、この2つ目の方法のほうが効果的になるかもしれない。

 

個人の状況や意欲、体力の程度によって好きな方を選べばよいが、どちらを選ぶにしても、以下に説明する食事や運動その他の生活習慣の規則は出来得る限り守らないと効果は薄い。

 

・できる限り早い時間帯に屋外で体を動かす。

交感神経優位と副交感神経優位の移り変わりによる朝、昼、夜の推移を決定づけるもう一つの要因は、肉体的な活動である。人間は日の光が当たっているうちに食料採取などの仕事を行い、夜は活動を停止して眠るという自然の生物としての生理を持っている。よって、多少無理をしてでもなるべく早い時間に屋外に出て体を活動させることは、崩れた体内時計をもとに戻すのに非常に有効なのである。

 

運動の場合もまた自分の現在の状況に応じて、起床の直後のできる限り早い時間帯で行うか、それとも昼夜逆転がひどい場合には、いっそ夜を明かしてしまって日が昇り始めてから行うという、2つの手段が考えられる。

 

では、運動とは一体何をすればよいのか。一般に運動という言葉からはランニングや筋力トレーニングなどの激しい活動を想像されるかもしれない。しかし、過度に肉体に負担をかけることは、健康を取り戻すためには返って害悪となってしまうことも多い。

 

ここでもっともおすすめするのはただ歩くことである。余計な技術など全く必要ない。高価な器具に無駄な出費をする必要もない。ただ自分が起きることのできる最も早い時間に、日の光を浴びながら普通に歩くだけでよい。時間にして30~40分ほどが適切だろう。これならばほとんどすべての人が実行できるであろう。また、後で別の記事にも書くが、この歩くという行為もまた、例の「セロトニン仮説」から見たとしても非常に理にかなった行為と言えるのである。

 

ただ歩くのに必要なものはあまりないが、靴だけは足を傷めないものを用意したほうが良い。アシックスやニューバランスなど有名メーカーの廉価品のランニングシューズなどがあれば最適だろう。

 

さて、長くなりそうなので、続きはまた次の記事に譲ろうと思う。

睡眠の改善について1

精神的な病を考える時、健康を司る人間の三大欲求の内でも睡眠の問題というのはもっとも大きなものだと言えるだろう。しかし睡眠というのは現代の社会ではとかく軽視されがちである。特に我が国の社会では、勉強から仕事に至るまで「いかに眠らずに耐えて頑張ったか」という実に非合理極まりない精神論が無意味に評価されてしまう傾向すらある。バブル期には「24時間戦えますか?」などと言った広告文句が持て囃され、現在では一日17時間にも及ぶいわゆるブラック企業の搾取労働が平気で放置され、挙げ句超短時間睡眠法などという人間の自然の生理を無視した異常な言説までが平気でまかりとおってしまう。

 

だが、睡眠とは人間は始めとする生物に普遍的に必要とされているものであり、決して人為的な都合で削って良いものなどではない。睡眠中に人は日中の活動によって損なわれた心身の修復をし、記憶を定着させ、新たな活動のための活力を蓄える。適切な刺激と休息の均衡こそが人間の健全な成長と発展を支えるのである。

 

眠らない時、人間はどうなるのか。世界中では様々な事例が報告されている。

 

快眠コラム「人は眠らないとどうなる?」睡眠時無呼吸症候群(SAS)net| フクダ電子

 

寝ないと脳の働き低下 | 睡眠健康大学

 

gigazine.net

 

いずれも集中力の低下や情緒の不安定といった軽微な兆候から始まり、やがては妄想や精神錯乱などより重篤な症状へと発展していくという経過をたどる。ここで断眠によってもたらされる症状はまさしく我々が経験してきたうつ病神経症などの精神症状と酷似したものであるのがわかるだろう。これらの事例のような一時的な断眠実験でなくても、日常生活でよく見られるような慢性的な睡眠不足がいかに精神に悪影響を及ぼすかは推して知るべしである。精神の健康のために、正しい睡眠の習慣を取り戻すというのが以下に重要であるかを理解していただけると思う。

 

そうは言ってもうつ病で悩まされてきた人々は、睡眠の重要性など頭では十分に分かっているだろう。しかし、病的な睡眠異常が毎夜続き、自らの意思で眠ろうとすればするほどに眼が冴え、眠れなくなってしまうというような場合がほとんどだと思う。私自身も病に苦しんでいた何年間もの間極度の不眠に悩まされ、毎日睡眠時間が一時間を切るほどの極限の生活をしていたものである。

 

睡眠というものは布団に入ってからの「眠ろう」という個人の意志ではどうにもならない。したがって、睡眠の習慣を改善しようとする場合には、睡眠というものを正しく理解し、夜眠るまでの前段階で準備を整えていくことが大切である。

 

うつ病でよく使われる用語に「モノアミン仮説」というものがある。ようするによく言われる「うつ病になるのはセロトニンが欠乏しているから」だとかいうアレである。これはあくまで仮説であって事実ではなく、人間の精神というこの世の中でも最も複雑な機構をたかだか数種類の化学物質で割り切ってしまうこと自体に非常に無理がある。まして、それを合成物質で無理矢理に増減させようとするところに、現代の精神科医療の根本的な悲劇が生まれるのである。

 

しかし一方で、治療の指針としての大まかな枠組みとしてはある程度役に立つ部分もある。例えばセロトニンを増強するという行動を日々の生活に取り入れていけば、ある程度自分自身で間接的に感情を制御することも可能になるである。

 

ここで話を睡眠に戻すと、睡眠に関連する最も重大な脳内物質はメラトニンであるとされている。日中の活動によって放出されたセロトニンが、日没とともに周囲の環境に光がなくなるにつれメラトニンへと代謝され、これが人間の規則正しい睡眠習慣を形作るのである。人間の体には俗に「体内時計」と呼ばれる機能がある。1日24時間、朝、昼、夜の循環を、人体の内部でも交感神経や副交感神経の作用を調整することで再現しているのである。セロトニンメラトニン代謝関係は、この体内時計を正常に機能させるために大きな役割を果たしている。

 

うつ病患者の場合、度重なる慢性的なストレスや生活習慣の乱れなどでこの体内時計が狂ってしまっていることが考えられる。一時的な感情の乱れなどで夜眠れなくなることは健常人でも往々にしてあるが、うつ病患者の場合はそれが慢性化し、新たな習慣として体に根付いてしまっているのである。この狂った体内時計をいかにして合理的な手段で矯正していくかが睡眠習慣を改善する鍵となる。

 

人間の体が朝起きて、昼活動し、夜眠るという自然の生理を持っている以上、いかに本人が夜ふかしや昼夜逆転の生活が苦にならないと思いこんでいたところで、そのしわ寄せは必ずどこかしらに現れてくるものである。睡眠の問題を改善できた時、あなたのうつ病はかなりの部分まで治癒できているといっても過言ではないだろう。

 

今回は概念的な話がほとんどになってしまった。
次回はより具体的な睡眠改善のやり方について述べていく。