うつ病を治すための個人的方法

個人的経験からうつ病の効果的な治し方について解説していく。

睡眠の改善について3

それでは前回に引き続き、うつ病からの回復に置いて最も重要な睡眠の改善法について述べていく。

 

・夜は明かりを落とし、眠りたい時間には完全な暗闇にする。

朝から昼にかけて太陽の光と身体の活動によって賦活された交感神経系は、日没とともに周囲に光が失われることによって副交感神経優位へと移り変わっていく。それとともに昼間に放出されたセロトニンも睡眠物質であるメラトニンへと代謝が行われていく。よって、体に正常な朝、昼、夜の循環を取り戻させたい場合には、朝に光を浴びることと同じように、夜に強い光を浴びないことが重要になってくる。

 

しかし、現在の私達の生活は様々な文明の利器に囲まれており、きちんと意識をしていないと、たとえ夜であろうとも、昼間とほとんど変わりがないほどの強力な光に終始さらされることになってしまう。例えば一般に使われている天井用の蛍光灯やLEDは、明るさにして2000~3000ルーメンという強力さであり、これは光源から1メートルの距離で見た場合、ロウソク2000~3000本と同じだけの光の強さである。つい百数十年前までは人類のすべてがロウソクや油皿の僅かな明かりで生活していたことを考えれば、どれほど異常な明るさであるかがわかるだろう。

 

日没の後の光源は視界を確保できる最低限のものでよい。私の場合この方法を実践し始めた時、26口金の床置き型電球用ソケットを手に入れ、通常の40ワット型電球相当のLEDを使っていた。しかし、500ルーメンでも明るすぎたため、徐々に光源の出力を落としていき、現在では17口金のアダプターをつけて、20ルーメンのLED電球に落ち着いている。これでも慣れてしまえば何の不自由も感じることはなく、読書なども普通に楽しめる。暗い所で過ごしていると眼が悪くなると言う方もいるかも知れないが、私自身はもう15年近く、この生活をしていても両目の視力は1.5から落ちていない。

 

光源をできる限り暗くするとともに、その種類の選び方も重要になってくる。なるべく青色の光を発さないものを選ぶべきで、具体的には「昼白色」や「昼光色」のものを避け、「電球色」のものを選ぶとよい。これは後にパソコンの項で述べるブルーライトの問題によるものである。

 

日没後に薄暗い環境で過ごすことによって、自律神経系に今が夜であることを知らせることができる。徐々に睡眠に向けて体が整えられてゆくのである。そしていよいよ午後11時~12位の一般的な睡眠時間が訪れたら、それ以降は一切の光を遮断し布団の中に入ってしまうのが良い。一旦布団の中に入ったなら、たとえその日は朝まで眠ることができなかろうとも、出来得る限り体を動かさず目も開けないようにすることだ。始めは苦痛を伴うが、これを毎日繰り返していくことによって少しずつ体内時計が調整されていき、いずれは正常な規則正しい睡眠を取れるようになっていくだろう。

 

また言わずもがなだが、夜にはできる限り身体的な活動を避け、例えばゲームなどの神経を興奮させるような行動も慎むべきである。

 

必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど栄養価のバランスの取れた食事を規則正しく食べる。

 

食事の問題はうつ病の治癒と直接に関わってくる重要なものなので、のちに独立した記事で詳しくに記述していくつもりである。この項では、睡眠の改善という目的に対して重要となる、食事を規則正しく摂ることの重要さについて述べていきたい。

 

手の届く範囲で気軽にいつでも食べ物がある現代の生活では、ついつい気を紛らわすために、ちょっとした拍子で何がしかの食べ物を口に運んでしまいがちである。しかし、食事を摂るという行為もまた、人間の交感神経と副交感神経の均衡に非常に重要な役割を果たしており、特に夜間に間食などをし過ぎると、自律神経が乱れ不眠の原因となってしまう。

 

うつ病患者はたとえ昼夜逆転などで生活習慣が現在乱れていようとも、健常人と同じように、朝、昼、夜の三食を毎日同じ時間に摂るように心がけなければならない。それと同時に間食や清涼飲料水などのそれ自体でカロリーを保つ飲料も極力飲まないようにするべきである。特に夜間の間食は致命的で、本来休息に向かうはずである時間帯に消化器系への刺激が加わると、体はまだその時間が活動時間であると勘違いしてしまい、望まぬ不眠を生む結果となってしまう。

 

うつ病がより深刻で、現在昼夜逆転の生活を送っている方の中には、夜間に食事を摂らないと空腹で仕方がないという方もいるかも知れない。この場合、思い切って夜中半日程度の断食をしてしまうのが望ましい。断食というのは体の自然治癒力を回復させる方法として、昔から用いられてきたものであるし、一日程度何も食べなくても人間は絶対に死ぬことなどない。普段食べている夜中の食事を食べないことで、自然と交感神経が優位になり一時的に眠れなくもなるだろうが、その分徹夜後の朝日を十分に浴び朝食を摂れば、前記事で述べたように生活習慣を改善していく糸口となっていくだろう。なおこの時に朝食の量はなるべく少食で済ますことをおすすめする。こうすることによって交感神経が活発となり、たとえその後に寝てしまったとしても、より短い時間で覚醒できる可能性が高まる。

 

間食をしないこと。健常人と同じ時間に規則正しく食事を摂ることを心がけること。食事の習慣を正すために少々の空腹には耐えること。これを実践していけば、食事という物理的な側面から、自律神経の均衡をとっていくことが可能になるだろう。