うつ病を治すための個人的方法

個人的経験からうつ病の効果的な治し方について解説していく。

ヨーガについて

前回までの記事で紹介してきた食事法や依存の断ち切り方、あるいは禁欲のすすめなどは、少なからぬ人たちにとってはあまりにも強い自制が必要となるために、実践が困難だと感じられてしまうからしれない。「頭ではわかっているのだけれど、なかなか現実にはうまくいかない」。生活習慣を正すことが良いことだとわかっているのに、なかなか以前の悪い習慣を抜け出せないのは、往々にしてそのような心理が原因であろう。

 

そんな時におすすめしたいのがヨーガの実践である。毎日20~30分ほど規則的に練習を積むだけで、数ヶ月もすれば集中力が身につくと同時に目先の欲求に左右されない自制心も強まり、さらに体が自然本来の状態を回復するために、自分の体にとって良いものと悪いものを本能的に見分ける事ができるようになる。実際ヨーガの実践は各種の依存症にもてきめんの効果を発揮し、酒や煙草その他の悪習も無理なく止めることができる。

 

ヨーガというのは本来の語義では悟りに至るための各種の精神的な修練法を指すのだが、ここでは一般的に日本でイメージされる通り、インド言うところの「ハタ・ヨーガ」、すなわち体位や呼吸法を使った健康体操としてのヨーガについて述べていく。

 

ヨーガの健康効果には実に驚くべきものがある。ヨーガを実践し始めてから数ヶ月程度で、数年から時には数十年に渡って苦しめられてきた慢性的な症状が嘘のように治ってしまったなどという話は決して珍しいものではない。これは、ヨーガの対位法によって体の無駄な緊張や歪みが矯正されると、血液や体液、神経系の流れが正常化されるので、付随的に内蔵の働きも活発化し、人体が本来の治癒力を取り戻すためであると考えられる。もちろんうつ病神経症に対する効果も絶大で、簡単な対位法を2ヶ月ほども実践し続ければ、気分の爽快感や体の軽快感、不眠の改善など様々な効果を実感することができるであろう。

 

ヨーガの体位は多岐に渡り、中には一般人では到底真似できないようなものも少なからずあるが、初心者が健康効果を得るという目的のために行うのならば、それほど難しいことをする必要はない。覚えておくべき体位法はまずは二つ、ヨーガの基本的な背骨に対する刺激を一連の動作の中にまとめ上げたいわゆる「太陽礼拝」というものと、それに唯一含まれていない背骨をねじる体位である。

 

まずは太陽礼拝から説明していこう。

1、直立した状態で合掌

2、息を吸い込みながら両手を大きく広げ、上を仰ぎ見ながら背骨を反らす

3、息を吐きながら前屈姿勢

4、地面に手を付きながら屈んで上を見る

5、右足を後方に伸ばし、背骨を反らして息を吸い込む

6、猫の背伸びのように、両手と両足で支えながら「く」の字に体を折り曲げる

7、左足を元に戻し、5と逆の形

8、屈む姿勢。4と同じ

9、前屈姿勢。3と同じ

10、1に戻る

以下繰り返し。

 

文章ではわかりにくいと思うので、Youtubeの動画なども参考にしてほしい。


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この太陽礼拝はヨーガの最も基本となるものであり、なおかつヨーガの精髄が凝縮されたとても完成度が高い体位法である。これだけを毎日2回ほど行うだけでも十分すぎるほどの健康増進効果を実感できるようになることだろう。

 

さらにこれに加えるねじりの体位には複数の種類がある。もっとも正式なのはマッチェンドラアーサナと呼ばれるものである。

 

1、あぐらをかいた状態から右足を立てて左足の太ももの脇に交差させる

2、左腕の肘を右脚の膝に交差させて伸ばす

3、右腕を背骨の後ろに回し、右手を地面につく

4、後ろを振り向く形で背骨をねじる

左右交代してもう一度。

 

こちらも動画を見るとわかりやすいだろう。

 


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この体位法は数百年前に書かれたとされるヨーガの原点、「ハタ・ヨーガプラディーピカー」にも登場する由緒正しいものである。身体と脳を繋ぐ役目を果たす脊髄神経系に適度な刺激を与えると同時に、内蔵全般を活発化させることができる優れた体位法である。

 

しかし、全くの初心者にとっては少々難易度が高い部分があり、特に体の高い人は最初からこの体位法を行うのは無理があるかもしれない。そんな時はより簡易的な体位から徐々に慣らしていくのが良いであろう。

 

初心者にもっともおすすめなのは臥位で行うねじりの体位である。俗にワニのポーズなどとも呼ばれたりする。

 

1、床の上に仰向けに寝て両手を大の字に広げる

2、右足を垂直に大きく上げる

3、徐々に右足を体の左側に倒していく

4、右膝を折り、左手で押さえる。顔は右方向を向き背骨をねじる

左右を変えてもう一回。

 


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上記の太陽礼拝とねじりの体位だけなら、一日に15分程もあれば一通り行うことができるだろう。なお、これらの体位法を行うに当たっての注意点は、必ず胃にものが入っていない空腹時に行うことだ。食後に行うと、内臓に無理な負荷がかかり逆効果になってしまう可能性がある。理想としては毎日普段より20分ほど早起きし、朝方の新鮮な空気と静寂を感じながら、くつろいだ心地で取り組むのが良いだろう。また、体位法を行うには絶対に無理をしてはならない。自分の状態をよく観察し、心地よいと感じる範囲で行うことを心がけよう。ヨーガの哲学では、曲芸のような難しい体位を取ることよりも、自分の体の状態を観察することのほうが遥かに重要だとされているのだ。

 

さらに余裕があれば、簡単な呼吸法にも挑戦してもらいたい。普段は自立神経により無意識的に調節されている呼吸であるが、自分の意志で操作することもできる。呼吸はいわば、人間の意識と無意識の中間に位置する活動なのである。呼吸法に日々意図的に取り組むことにより、不安やあがり症などの自律神経系の不具合を意志の力ではうまく制御できるようになっていく。

 

ヨーガの代表的な呼吸法、「スーリヤベーダナ(太陽呼吸法)」のやり方は以下の通り。

 

1、あぐらでくつろいで座り、右手の人差指を額に当てる

2、右手の小指と薬指で左の鼻孔を押さえる

3、右の鼻孔から息を8数えるまで吐き出す。この時、会陰部と肛門を強く引き締める

4、右の鼻孔から4数えるまで息を吸う

5、右手の親指で右の鼻孔を閉じ、7数えるまで息を止める。この時、顎を引き締め喉を上げる

6、右の鼻孔を押さえたまま左の鼻孔を開放し8数えるまで息を吐き出す

 

以降、左右同じことを12回ほど繰り返す。

 


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この呼吸法を日々続けることにより、新鮮な酸素が供給され脳の機能が活発化されると同時に、肺活量も増し呼吸も深くなるため、体が軽く感じ爽快感を得ることができる。また、集中力の向上や精神が安定し外界の出来事に動じにくくなるなど、精神的な効果も多分に得られる。

 

ヨーガはこの15年ほど世界的に非常に人気があるが、それは取りも直さず、日々地道に実践を続けていくことによって、誰もが相当な健康効果を実感できるからであろう。しかも一度やり方を覚えてしまえば、全くお金がかからない。損をすることは何一つないのであるから、ここは騙されたと思って一度始めてみてはいかがだろうか。

 

もし、この記事でヨーガに少しでも興味を持っていただけたのであれば、さらに多くの体位法なども自身で勉強して実践しもらいたい。そして、ヨーガとは実際には人間の人生のすべてを包括するような広大な哲学の体系でもあるので、そちらの知的な側面の理解も深めていただければ、きっと人生を180度変えてしまうような実りをもたらすことだろう。以下におすすめの書籍をいくつか紹介しておく。

 

 

ヨーガ入門 ココロとカラダをよみがえらせる

ヨーガ入門 ココロとカラダをよみがえらせる

  • 作者:佐保田 鶴治
  • 発売日: 2001/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
ヨーガ禅道話

ヨーガ禅道話

 

 

 

 

 

シヴァーナンダ・ヨーガ―愛と奉仕に生きた聖者の教え