うつ病を治すための個人的方法

個人的経験からうつ病の効果的な治し方について解説していく。

食事の改善について4 副食

前回までの記事で、毎日食べ続けるべき主要な食物である全粒穀物と豆類について説明した。これら二つを日々の食生活の中心に据えるだけで栄養状態は驚くほど改善され、心身ともに少しずつ健康と安定を得ていくことができるようになるだろう。

 

しかしもちろん、これだけでは栄養的にはまだまだ不完全であり、全粒穀物と豆類で補いきれない栄養素は副食でまかなう必要がある。特に重要なのは穀物類には全く含まれていない、ビタミンAとビタミンCである。これらの栄養素は主に野菜や果物類に多く含まれるが、その内でももっとも栄養効果が高いのが、緑黄色野菜である。特に小松菜や菜の花といったアブラナ科の葉菜は、ほかの野菜類と比べても圧倒的な栄養の豊富さを誇っている。

 

小松菜

エネルギー 13 kcal
水分 94.1 g
たんぱく質 1.5 g
脂質 0.2 g
炭水化物 2.4 g

無機質

ナトリウム 15 mg
カリウム 500 mg
カルシウム 170 mg
マグネシウム 12 mg
リン 45 mg
鉄 2.8 mg
亜鉛 0.2 mg
銅 0.06 mg
マンガン 0.13 mg
ヨウ素 2 μg
セレン 1 μg
クロム 2 μg
モリブデン 10 μg

ビタミン


A レチノール (0) μg
カロテン α 0 μg
β 3100 μg
β−クリプトキサンチン 28 μg
β−カロテン当量 3100 μg
レチノール活性当量 260 μg
D (0) μg
E トコフェロール α 0.9 mg
β 0 mg
γ 0.1 mg
δ 0 mg
K 210 μg
B1 0.09 mg
B2 0.13 mg
ナイアシン 1.0 mg
ナイアシン当量 1.6 mg
B6 0.12 mg
B12 (0) μg
葉酸 110 μg
パントテン酸 0.32 mg
ビオチン 2.9 μg
C 39 mg

脂肪酸
飽和 0.02 g
一価不飽和 Tr g
多価不飽和 0.08 g
コレステロール (0) mg
単糖当量 0.3 g
食物繊維
水溶性 0.4 g
不溶性 1.5 g
総量 1.9 g

https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=06_06086_6

 

一日に二回、一回あたり50gほどのこうした緑黄色野菜を摂取するなら、全粒穀物・豆類とともに一日に必要な栄養素の95%は補うことができるだろう。世の中に健康効果を謳う高額な商品は多々あるが、実際に人間に必要な食事というのはこのように至極単純なものなのである。これならば、普段身の回りで購入できる普通の食品を利用するだけでよく、しかも至極安価に済むので、うつ病を治療しながら家計の助けにもなるという一石二鳥を実現できる。

 

イモ類

穀物以外のエネルギー源として有望なイモ類であるが、特筆すべきはビタミンC相当量含まれていることである。その量はさつまいもが100gあたり20mg、じゃがいもが100gあたり15mg、しかもデンプンに守られているため加熱によって損なわれにくく、料理に使用してもそのまま栄養を取り入れることができる。適度に日々の食事に取り入れるとよい。

 

  • 種子(ナッツ)類

ビタミンEやビタミンB群、ミネラル、不飽和脂肪酸に富み、適度に摂取することで血管機能などが改善され、脳にも良い影響がある。しかしあくまで脂肪の塊なので、とりすぎには注意が必要である。一日に20g程度に留めておくのが良いだろう。

 

  • 魚類

以上までに紹介した食品は基本的に植物性であるが、これだけでは人間に決定的に不足してしまう栄養素が一つだけある。ビタミンB12である。主に造血に関わり、不足することで悪性貧血を起こしてしまう恐れのある栄養素であるが、基本的には動物質の食品にしか含まれていない。やはり人間は雑食動物であって、ある程度の動物性食品を摂らなければ生きていけないことの証である。インドなどは菜食主義の国として有名であるが、それでもこのビタミンB12を取るためにかなりの量の牛、水牛、ヤギなどの乳製品をとる。

 

しかしこのビタミンB12の必要量は驚くほど少なく、一日の必要量にしてわずか2.4㎍に過ぎない。しかも体内である程度長期間蓄積される性質があるため、それほど毎日気を使って摂取する必要もなく、欠乏症は相当程度の長期間でしか起こらない。人間は雑食動物だと書いたが、他の多くの霊長類と同じく圧倒的に植物食が優勢であることの証である。

 

我々日本人としてはどのような動物性食品からこのビタミンB12を摂取するのが望ましいのだろうか。その答えはやはり魚類であろう。特に青魚には、大量のビタミンB12が含まれており、イワシなどは実質10g程度でも一日の必要量をまかなえてしまうほどである。よって、一日に一食50~100gほどの魚類を摂れば、それだけで栄養面では特に問題がないと言えよう。

 

しかも魚類には他の食品にはないもう一つの大きな利点がある。DHAEPAといった不飽和脂肪酸を多量に含んでいることである。誰でも名前くらいは聞いたことがあるであろうが、こうした魚類に含まれる脂肪酸は血液を浄化するとともに、脳の認知機能を向上させる働きを持っている。うつ病で全面的な機能低下を起こし、意欲や記憶力、集中力が停滞している状態を、普段から一定量の魚を食べることで改善することができるのである。日本に住んでいればほとんどの地域で新鮮な魚を手軽に安く手に入れることができるので、これを利用しない手はないだろう。

 

・乳製品

乳製品は巷で言われているほどに万能な完全食ではないが、カルシウムやビタミンB2の補給源としては有望である。特にヨーグルトは乳酸菌の力によって消化器系を始めとした種々の健康効果が期待できるので、積極的に取り入れておこう。ヨーグルトは牛乳の倍ほどの値段がするが、市販の牛乳に市販のヨーグルトを少々混ぜ込んで、トロ箱やダンボールの中で保温するだけで、簡単に自家製のものを作ることもできる。試してみるとよいだろう。

 

自家製ヨーグルトの作り方!牛乳から作る3つの方法を徹底解説◎ - macaroni

 

・わずかな量の鶏肉、獣肉

はっきり言ってしまえば、以上までに述べた食事法を守っていれば、これらは全く取る必要はない。私自身はすでに15年以上こうした食品を摂っていないが、全く体調を崩すこともないし、風邪すらもほとんどひかないほどである。しかし、どうしても食べたいという方には、そこまで禁欲的になることを強いるものではない。しかし、獣肉の取り過ぎには、常に飽和脂肪酸過多からくる種々の成人病の危険性がつきまとうことをよく認識し、できる限りその量を制限することが望ましい。具体的には週に1~2日、一回50~100gほどに留めておくのが良いだろう。